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ブラジルGPは静かなチャンピオン決定戦だった。

朝からサンバのリズムが鳴り響いていたインテルラゴス・サーキッット。すでに皆さんもご存知のように、ブラウンGPのJ・バトンが5位に入り、初のワールドチャンピオンに輝いている。だが終わってみれば、もの静かなチャンピオン決定戦だった。歓喜も、喝采も、現場にいた僕の耳には届いてこなかった。放送席から出て1コーナー・ブリッジを渡ってパドックに戻ろうとした時、さっきまでスタンドで騒いでいた観客が忽然と消え、一人もいなくなっていた。彼らが放り投げたシートクッションだけがコース上に散乱、喧騒の後を留めていた。1時間後、ぱらぱらと雨が落ちてきてインテルラゴスはひんやりとした空気で満たされた。そう、こういう冷たい終わり方こそ2009年には最もふさわしいのかもしれない……。

まずレースを振り返ってみよう。
第16戦ブラジルGPまでを真っ二つに割って、その前期後期の得点バランスを表すとこうなる(第1戦から第8戦までと、第9戦から第16戦までの合計点)。

1位:Jバトン     64+25=89点
2位:S・ベッテル   39+35=74点
3位:R・バリチェロ  41+31=72点
4位:M・ウェバー  35,5+26=61,5点
5位:L・ハミルトン   9+40=49点
6位:K・ライコネン  10+38=48点

トップ4人はいずれも後半戦で得点が低下、後半8戦で言えば1位のL・ハミルトンが40点、2位のK・ライコネンが38点で、二人の得点がトップ4を上回り、旧2強チームの二人が1位、2位で大逆転になる。チャンピオンのバトンの後半戦は6番目の得点でしかなく、8戦で25点は1戦平均で約3点、6位入賞がやっとだったことになる。
バトンだけではない。チャンピオンシップコンテンダーたるS・ベッテルもR・バリチェロもM・ウェバーも、後半戦揃って得点率が落ちている。こういうシーズンは極めて珍しい。夏から秋へとチャンピオンシップが深まれば深まるほどヒートアップしていくのがこのスポーツの面白さなのに、今年は真逆でトップ4全員が前半よりも成績を下げていった……(クールダウンか?)。

1950年から数えて60回目シーズン、昨年のハミルトンと同じ5位入賞によってバトンが31人目の王者になった。彼だけでなくタイトルを争ってきたベッテルもバリチェロも“決定戦”表彰台に立てなかったのは、極めて異例なことで、ほかのスポーツではありえないようなファイナルゲームの結果だといわざるを得ない。
要はトップ4が揃いも揃って得点を伸ばせなかった後半、その中で彼と彼のチームが一番巧く“ポイント・マネージメントレース”をまっとうしたということだ。2009年の勝負はそこだった。しかし、生涯初のタイトルをこんな風に決めたジェンソンに2度、3度と、こうした成功が望めるだろうか。僕はこういうシーズン展開はそう何度もないと思うのだが。
「この至上の喜びをまた握り締めたい、誰にもこのタイトルを渡したくない!」
初制覇した後の新王者からはそうした前向きで力強い感想など聞かれなかった。優勝祝賀パーティーをさっさと切り上げ、一人ホテルの部屋から彼女に長距離電話する彼は本当に素直でいいヒト、歴代ワールドチャンピオンの中で彼ほど「心優しい王者」もいない。

最終戦アブダビGPでバトンがどういうレースをして見せてくれるか、チャンピオンとしてぼろぼろのレースはいただけない。もし素晴らしいレースをして見せてくれたら、それがタイトルプレッシャーにおののいていた“逆証明”にもなる。新王者には今年最後の勇敢なレースを望みたい。

P.S.
今宮純クロストーク・ミーティングのフレンドリーゲストとして、毎回出演してくれている“BSの浜ちゃん”こと浜島浜島裕英(株)ブリヂストン MS・MCタイヤ開発本部長が案内役を買って出てくれ、11月15日(日)に同社のタイヤとモータースポーツの展示館『ブリヂストンTODAY』(東京都小平市)の見学バスツアーを行なうことになりました。興味のある方は、下記案内ページをご覧の上、ご参加下さい。

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