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2010年03月 アーカイブ

2010年03月10日

第10回クロストークイベント超満員御礼&開幕展望

緊張しました。
第10回という重みを意識しながら会場に入った途端、参加者のみなさんのあまりにすごい熱気に思わず身震いしました。いろいろとサプライズ企画も考えていたのですが、初心にかえりシンプルにいこうと決めて臨んだ3月7日のクロストークイベント、寒い雨交じりの天候にもかかわらず180名の定員を超えるみなさんが午前中早くから詰め掛けてくれました。会場に着くと、出入り待ちの方から「これ秋田の日本酒です、どうぞ」とプレゼントされたり、「甘いものよりお好きでしょうから」と上等な“おかき”をいただいたり。参加者のみなさんを含め、改めて御礼申し上げます。

オープニングの「渚でシャララ」に後押しされてステージへ。この曲は長年の友人であるザ・ワイルドワンズの鳥塚しげきさんたちが、ジュリーこと沢田研二さんと「ジュリー with ザ・ワイルドワンズ」という新バンドを結成、この2月に発売した新曲で「今宮、お前もいろいろ宣伝してくれよ!」と鳥塚からお願いされていたこともあり、オープニングナンバーとして使わせてもらいました。グループサウンズなんて知らないよと、ドン引きされる心配もあったのですが、みなさんには結構サプライズだったようで、僕はちょっとしたタイガースやワイルドワンズ気分を楽しませてもらいました(ちなみにオリコンチャートは初登場24位!)。

そのせいか第1部はしゃべり過ぎて25分もオーバー。タイムスケジュールがいきなりめちゃくちゃになってしまいました。このイベントを始めたころにはしょっちゅうあったことですが、これがTV番組ならばプロとして絶対に許されない失敗です。でも、第2部の出番を控え室で待つBS浜島氏は、連日忙しい日々が続いていたのでちょっと休憩になってよかったのではないかと……。待たせてごめん。

イベントでもお話させてもらいましたが、2010年シーズン開幕のポイントを、ここでもう一度挙げておきます。

1.新3チーム6台が“動くシケイン(失礼)”になる可能性があり、予選、決勝では思わぬゲームメーカーになりうる。準備不足の彼等は数秒以上もペースが遅く(GP2並み)、90年代前後の玉石混交レースでも小チームの存在がゲームのスパイスになっていた。

2.それに伴う混乱事態が予想され、セーフティーカーの出番が今年さらに増えるかも。スタート後の1コーナーはいままで以上に勝負の分岐点となり、もし上位陣で接触、緊急ピットインとなったら(給油戦略面での挽回は不能)、その瞬間に脱落者になってしまう公算大だ。混乱すればなおさらタイヤ交換のタイミングに変更が出て、戦術面でも見どころとなる。その際、燃費コントロールランが重要なテーマでスローペースでガソリンを節約、リスタートに備えたい。ちなみに今年の“SC”はメルセデスのSLS63AMGという2000万円超の高価なスポーツカー。このニューマシンの豪華カレンダーを会場内で1名さまにプレゼント、メルセデス・ジャパンから頂戴したものだ。

3.タイヤ交換ピットストップ戦争勃発。93年以前は4秒台だったピット作業が、この冬のメカニックたちの特訓で3秒台も可能になり、レース中のハイライトに。特に注目は左リアタイヤ。右回りコースではコース側になるので、担当スタッフには脇をすり抜けるマシンがプレッシャーになる。以前もミスやタイムロスがこの左リアに集中していた。ピット作業効率アップのため、ジャッキやホイールナット改良、シグナルサイン新開発など、チームも研究熱心になっているので本番が楽しみ。

4.スタートから無給油で305kmを走りきるには、当然、燃費調整がシビアになり、満タン・スタートでの重い状態からガス欠寸前のゴールまで、エンジニアはピット裏ですべての情報データとにらめっこになる。タイヤ、ブレーキ、カーバランスの変化に最後まではらはらどきどき、その緊張感はいままで以上に我々見る側にも伝わってくることだろう。チェッカーが振られたとき“解放感”が爆発する。

5.優勝25ポイント、リタイアは0ポイント。今年から採用された新ポイント制度は1位が昨年の2,5倍になって25点、2位は18点でその差が“7点”に広がった。とは言っても2位以下の順位の配点差は小さいので、新制度では“勝者ボーナスポイント”がついたと考えればいい。だからもし優勝候補の一角にいながらトラブルやミスで0ポイントに終わるとハンデは大きい。今年は戦力が拮抗しているだけに、昨年のブラウンGPのJ・バトンのような4連勝は難しい。100%完走、上位入賞率キープが「チャンピオンシップの条件」――。

6.まさか開幕戦のバーレーンGPが雨がらみになるとは思わないが、今年はウェットレースでヘビーマシンでのドライバーズテクニックの違いがくっきり出ると思う。93年以前は雨の伝説レースがいくつも見られた。雨のセナ、シューマッハ、ナカジマ……、逆に雨が苦手なプロストなど、多士済々にそれぞれのキャラクターがアピールされることで、今年のF1はより分かりやすい「スポーツエンターテインメント性」も高まるだろう。

まだまだ見どころが散りばめられている2010年シーズン。僕にも予測のつかない部分がたくさんあるが、今季も全戦に渡って現地取材、現場で起きていることを、見たまま、感じたままにお伝えしていくつもりです。長いシーズンになりますが改めてよろしく。
それでは行ってきます!

2010年03月23日

フレッシュな顔合わせによる“勝負”が期待できる開幕戦だった。

負の分岐点が29周目からはっきりと見えた――。
ポール・スタートを難なく決めた1位S・ベッテル(レッドブル)は、それまで一時は5秒以上もリードしていた2位F・アロンソ(フェラーリ)に、20周を過ぎるころからじわじわと追い詰められ始めた。

 28周目:ベッテル2分00秒320/アロンソ2分00秒506(-2.422秒)
 29周目:ベッテル2分00秒500/アロンソ1分59秒583(-1.505秒)

このラップだけで約1秒も二人の間隔が縮まった。アロンソがジャブ攻撃を開始し、初めて勝負を争う若い相手がどうでるか、探りを入れたと解釈できる。これはマシンを使った心理戦である。

 30周目:ベッテル2分00秒421/アロンソ2分00秒019(-1.103秒)
 31周目:ベッテル2分00秒283/アロンソ2分01秒451(-1.271秒)
 32周目:ベッテル2分00秒218/アロンソ2分01秒206(-2.259秒)

ベッテルも即座に応じ、毎周ペースアップしてギャップを取り戻しにかかっているのがこのラップタイム変化からも分かるだろう。逆にアロンソはいったんペースを落とし、攻撃をあきらめたかのようにも見えた。しかし、このジャブ攻撃はボディーブローとなって相手のボディーを確実に捉えていた。

33周目を終えたベッテルが34周目に入ったときだった。防音ガラスに囲まれた放送席でヘッドセットマイクを耳に当てている自分たちにも鈍いエンジン音がダイレクトに響いた。ベッテルのマシンが“悲鳴”を上げたのだ。僕も思わず叫んでしまった(今回のCS中継中に衛星回線がたびたび途切れ、その都度、東京側に委ねざるをえずこちらは黙っていなければならないときがあった)。スタンドの観客はこのスポーツの恐ろしさに度肝を抜かれたことだろう。

33周目:ベッテル2分01秒574/アロンソ2分00秒411(-1.096秒)

追撃するアロンソはここぞとばかりにストレートパンチを連打、敵の異常事態を察知し一気に迫っていった。ベッテルのマシンはオイルなど吹き上げていなかったが、明らかなパワーダウン、直線速度が低下している。そう情況を判断しリスクなく安全にオーバーテイクしていったアロンソ。ああいうパッシングショットに技が透けて見える…。

 34周目:アロンソ2分02秒456/ベッテル2分04秒102(-0.550秒)
 35周目:アロンソ1分59秒477/マッサ2分02秒378/ベッテル2分05秒060(-6.133秒)
 
首位奪取に成功せり。アロンソは切り込み、続いてF・マッサもおこぼれちょうだいのオーバーテイクでフェラーリ・チームは08年フランスGP以来となる久々の“1-2”を固め、2010年砂漠の中の開幕ゲームを獲った。2台ともスタート前にエンジン交換を余儀なくされ、そのフレッシュエンジンでマッサは序盤からオーバーヒートに苦しんでいた。手っ取り早い“対策”は燃料を濃くしてエンジン内部を冷却すること、無論そうすれば燃費は悪くなる。無給油ルール新時代に変わった今年、マッサがペースを上げられなかった原因はそれだ。しかし同じく緊急エンジン交換したアロンソにオーバーヒート傾向はなかった。トラブルを未然に防いだところに彼と彼のチームの「勝因」が潜む。

確かに派手なバトルやアクシデント、セーフティーカー導入などの混乱事態はなく、ショーアップという点ではビジュアル的に“退屈”だったという感想は認めよう。だが奥深い心理戦がスタートからずっと続けられ、しかも傷だらけベッテルは後世まで語り継がれるような渾身のドライビングをコーナーで見せ、L・ハミルトンに抜かれ4位に下がった後も、メルセデス勢を“完封”して我々を驚かせた。彼のファンでなくともF1ファンならばあの極限状況でのベストコーナリングに大いに魅せられたはずだと僕は信じている。順位変動がふんだんにあればそれはそれでよし、ガチャガチャしたレースも、戦略的な駆け引き計算バーチャルゲームもオモシロイだろう。でもたとえば野球ではホームラン連発の乱打戦もいいが零対零の息詰まる投手戦も面白く、ベースボールを長く愛する人はそういうゲームにむしろ引きずり込まれるという。要は視点をどこに置いて見るかではないだろうか。

もし、ベッテルにあのトラブルがなく“ガチンコ勝負”になっていたらどうなったか?
皆さんも気になっているだろうから、ひとつの客観事実データを挙げてみよう。
ベッテルの最高速度はあのトラブル発生以前に記録した301.0Km/hで、これはロータスやヒスパニアよりも遅いどん尻の24位。1位マクラーレンのハミルトンは314.8km/hでその差は15km/h近い。フルダウンフォース仕様だったベッテルが、肉薄するアロンソ(最高速度12位/306.6km/h)を抑えきれたかどうか、僕はかなり難しかったというほかはない。独走状態になってもやすやすと最速ラップ1分58秒287を出していたアロンソはいざとなれば1分57秒、いや56秒台も出し切れたと推定できる。それに健康状態のベッテルが応戦し、お互いにコース上でストレートパンチの応酬が見られていたら2010年開幕戦は近年まれな名勝負となったことだろう。

いやいや今年はまだこれから18戦もあるのだ。いつかきっと、いや近いうちに二人のガチンコ勝負は実現するだろう。彼らを含め数々のフレッシュな顔合わせのマッチレースを期待させる第1戦バーレーンGP開幕戦だった。

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