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地中海2連戦を制したルノー・エンジンの強さとは!?

第5戦スペインGPの行われたバルセロナから、第6戦の地モナコまでは約670km、地中海沿いの高速道路をレンタカーのプジョー206+(ディーゼル)で移動。この2連戦、開催地はすぐ隣国でも日程は5月9日(日)にスペインGPの決勝、そして13(木)にはもうモナコGPのフリー走行開始と “中三日”の慌ただしさだ。僕はバルセロナを11日(火)に発ち、約7時間かけてモナコに入った。途中はフェラーリ・チームの“最終便トランスポーター”も一緒だったが、地中海沿いの高速道路からは海岸線が見えないのが残念だった。

マシンパーツが間に合わないとか、モーターホームがまだ組み立て中だとか、水曜日のモナコGPのパドックはてんてこ舞いの大騒ぎ、足の踏み場もない工事現場のようだ。それを横目にハーバーに立派なビル(?)を建て、チームオフィスとVIPエリアを完備させていたのがレッドブル・チーム。2階にはプールやバーもあって、このチームのホスピタリティーはNO.1。この点でもフェラーリやマクラーレン、メルセデスを抜き、名実ともにトップチームに踊り出た印象だ。わずか結成5年目のプライベートチームに、“タイトルスポンサー”がつく噂も出ている。それほど、いちドリンクメーカーの存在感は、F1界において急速に巨大化している。

モナコGPではルノー・エンジンが予選も決勝も1−2−3制覇、レッドブル・ルノー勢とルノーのR・クビサが圧倒した。過去には97年にウイリアムズ・ルノーとベネトン・ルノーの2チームがイギリスGPで1−2−3、ルクセンブルグGPで1−2−3−4を決めたことがあるが、その当時の活躍を思い出させるようなレースだった。

最近のモナコGPではメルセデス・エンジンが3連勝中で、この10年で6勝という強さで来ていた(フェラーリは01年以後未勝利でここでは弱い)。エンジン開発凍結ルールになってからメルセデス・エンジンが最強といわれているが、ルノー・エンジンを搭載したレッドブルが、今年はここまで6戦連続PP、決勝も6戦3勝という強さで、メルセデスの連勝をモナコでも止めた。この強さはまさに注目に値する。

2400ccV8エンジンのピークパワーはルノーの745馬力に対して、メルセデス760馬力、フェラーリ750馬力と両チームの方が優っていると推定されるが、ルノーは低中回転域での実戦パワーを感じさせ、また有効トルクもあって“ドライバビリティー”の点では完全に両チームより優っている。モナコのような公道コースでは、彼らのエンジンキャラクターの方がコースにフィットしているのは、実際にコースサイドで走りを観察しているとよく分かる。たとえば小さなコーナー出口からの加速力、マスネ高速コーナーでのアクセルワークなどドライバー・フレンドリーな特性が見て取れる。

さらにもうひとつ、好燃費性能もある。今年は無給油時代に戻り、モナコの260kmレースでは各チームとも平均値で1周あたり1.7kg、約135kgの燃料を積むことになる。その中でルノー・エンジンが、僕らの推察どおり約3%、ほかよりも燃費効率が上回っているとしたら……、当然、搭載燃料が軽くなり、ラップタイムに換算すると1周あたり約0.1秒以上の速さにつながっているはずだ。またレース・スタートが一段と重要になっている今季、ここまでの6戦を振り返っても、レッドブルとルノー(R・クビサ)が1コーナーまで抜かれたシーンはほとんど見たことがない。この発進加速性能でも好燃費ルノーは優っているし、チーム側さらにメリットを確実にすべく、“スタート・システム”の開発研究に精力を注いでいる。

マシン性能についてメディアではエアロパーツ、Fダクト、ストールウイングなどの改良を「アップデート」として取り上げることが多いが、実は開発凍結状態のエンジンでも内部の“合法的モディファイ”は認められており、アップデートは行われている。エンジン内部はカバーの中にあって、なかなか表から見る機会はないが2010年のF1エンジン<究極の燃費競争>で、いまルノーが他チームをリードしつつあることは間違いない。

2年ぶりに復活する第8戦カナダGPは、燃費が悪いコースとして有名だが、そこではレッドブルとルノー(クビサ)がどういうパフォーマンスを見せてくれるか、いまから大いに楽しみだ。

≪P.S. モナコGP夜話≫
土曜日の夜、仕事を終えてメインストレートを下見がてら走ったあと、ニース方向に向かっていたら路上検問にぶつかった。まだ食事もしていない9時半ごろ、我々が外国人だから止めるのかなと思ったら、なんと“飲酒運転”の検問だった。アルコール・チェックの器具を渡され、10秒間息を吐き出せという。ちょっと頭がくらくらするくらい目いっぱい吹いてやると、警官が「トレビアン!」と誉めてくれた。もちろんアルコール度は完全にゼロ。今度はこちらが「トレビアン!」だ。このあと、ホテルに戻ってから飲んだ地元プロバンス・ロゼワインが美味かったこと。
この検問のことを翌日、同じ方向のホテルに泊まっているBSのスタッフに報告。「もし日曜もやっていたら……」というと、おなじみの浜島氏が「大丈夫ですよ、今宮さん。僕らも宿に帰ってからでないとアルコールは飲みませんから(笑)」。
ヨーロッパで、しかもフランス(検問場所はフランス領)でも、最近は飲酒運転の取り締まりが厳しくなっている。僕は初めて体験だったが、皆さんの知り合いがこちらを車で走るといったら、ぜひ「飲酒運転にはご注意を」と教えてあげて下さい。

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