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真夏の2連戦パート1 第11戦ドイツGP「チームオーダー事件について」

49周目、6コーナー・ヘアピン立ち上がりで1位マッサがショーシフトアップして加速が鈍った瞬間、背後に居たアロンソが抜いていったプレーに対し、審査委員会はペナルティー対象として動いた。
F1競技規則39条レースの第1項には「レース結果に影響を及ぼすチームオーダーは禁止される」とだけ書かれてある。ここには具体的なチームオーダーの定義はなく、またどういった順位操作プレーが審議対象になるのかも言及はしていない。あくまで“レース結果に影響を及ぼす・・・”という、他のレギュレーションにくらべてやや曖昧でファジーな文言だ。
今回のケースはフェラーリ・チーム内の無線会話内容がオンエアされ、誰が聞いても分かる“状況証拠”が残り、事態は大問題に広がった。
競技中の選手と、采配する側(ベンチ、ピット)のやり取り、会話、私語なども含めて全てオープンにされるプロスポーツはあるだろうか?
たまたまこのドイツGPからチーム無線会話が“全面公開”とされた。野球、サッカー、バスケット、何でもいいが団体競技(チームスポーツ)では真剣なプレーの最中には人に聞かれたくない言葉や、汚いフレーズも飛び交っている。それは勝負がかかっていればこそである。がそれらをF1では全て公開することにした。僕個人的には覗き趣味というか、盗聴マニアっぽくて賛成しかねる(いままでのように一部公開はあっていいと思うが)。
そうするからにはトップチームだけでなく下位チームも誰も彼も均等に扱い、たとえばこのGPではどこのチームとドライバー何人をピックアップするとか、それで十分このスポーツのリアリティーを見る側に伝えることは可能だろう。
公開される無線会話でこれから奇妙な暗号的フレーズ、あるいは英語ではない言葉を使う手段がとられるに違いない(もうすでにそうしているチームも多い)。

翻って“レース結果に影響を及ぼす”行為は、いくらでも拡大解釈できる。スタート直後からの同チーム2台間の追い越しプレーも、見方しだいでどれも“レース結果に影響を及ぼした行為”にとれる。いまのは故意に抜かせた、いや実力で抜いたのだと、奇妙な言い争いにもなりかねない・・・。
39条1項にかかわるペナルティーを回避するのも簡単なことだ。ピットインで故意にタイムロスさせるとか、コース上でわざとオフラインに入ってハーフスピンするとか、いくらでも手口は考えられる。——しかしうがった見方でこうしたことばかりを気にしてレースを見ていたら、モータースポーツそのもののリアリティーは吹き飛ぶ。それこそ茶番だ。
自分は現行の「チームオーダー禁止ルール」そのものに無理があると考える。チーム内で選手権下位の者がたまたま前に出ても、後ろに選手権上位の者が迫っていて、しかも明らかに速いのであれば、順位を明け渡すのはまっとうなチームプレーだ。そのドライバーのフェアプレーになろう。だがどうしてもそれを拒み、エゴを貫きたいのならそうすればいいことだ。そうした者はいずれ孤立し、去っていくレース人生で終わった例が多い。シューマッハに譲り、ライコネネンに譲られた経験があるマッサは、現役ドライバーの中で最もよく“チームオーダー”の内情を知っている男だ。あそこで潔く譲っていなかったら、マッサは2位どころかアロンソ、ベッテルの攻撃に遭い無理してスピンして終わっていただろう。
つまりチームオーダーによってマッサのプライドも守られ、フェラーリは通算81回目1−2フィニッシュを達成し、チャンピオンシップ終盤につないでいくことができたのだ。
「君はよくやったぞ!」
担当エンジニアの一言にはいろいろな意味があった——。

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