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真夏の2連戦パート2 ハンガリーGPはレッドブルのためにあった!?

ホッケンハイムからいったんレンタカー、オペル・メリバで月曜日にパリまで550kmを走って戻り、水曜日午後フライトでハンガリーのブタペストへ。2時間少々で到着、今度の足は初めてのチェコ製のシュコダ・ファビオという小型セダンだったがギア操作がとても滑らか。一昨日まで乗っていたオペルよりも好感が持てた。

ハンガリーGPはまるでレッドブル・ルノーのためにある第12戦となった。僕は主にセクター1と3を見に行ったが、軽快なコーナリングに無駄な滑りは全然なく、ニュートラルステアを常に維持できていた(乗りやすそうだなあ〜と山本左近君と意見が一致)。路面状態が日ごとによくなっていくハンガロリンクで、彼らは正確に0.4秒ずつ短縮、FP1と2はS・ベッテル、3はM・ウェバーが交互にトップ。先週勝って乗り込んできたフェラーリ・F・アロンソは手も足も出せず、その速さに脱帽だった。

パドックではこのショッキングな速さに、今度は彼らのフロントウイングへの“クレーム発言”が流れ出した。コーナリング中に風圧によって低く垂れ下がり、路面との隙間が減って空力効果を高めている、という“指摘”だ。ウイング類には静止した状態での強度基準が定められていて、レッドブルはもちろんパスしている。しかし他チーム(特にマクラーレン)が騒ぎ出したのを受け、FIA側はフロントウイングの強度測定基準を新たに変更することを明らかにした。より丈夫なものにしなくてはいけなくなり、これはベルギーGPから採用されることになっている。

この騒動に関して、僕は昨年からレッドブルだけが高速コーナーでフロントウイングをぶるぶる振動させていて、取り付け部分に不具合でもあるのではと何度も思った。コースサイドで見ていると、しなるというか、垂れ下がるというか、フレキシブルというか、表現方法はいろいろあるが、僕はなにかそこに“シークレット”があるのではと、ずっと疑問を抱いていた。その件が最近になって表面化してきたのは、カメラにこの振動する瞬間の画像が載ったからなのだが、実はもっと以前からいわゆる「フレキシブル・ウイング」を彼らは試し、その効果を確認テストしていたと僕は推察している。めったにコースに出ていかない人々たちには、なかなか気付かれないことではあるが−−。

レースはウェバーが逆転勝利、これでシリーズの首位に立った。この4勝目は一味違う内容で、ピットインを先送りしながらオプションタイヤでリードタイムを稼ぐ力走に、彼の気迫が見て取れた。タイトル争いに賭ける意欲がむき出しだった。
 一方、今季7回目のPPを獲得したベッテルは“勝てるレース”をまた落とした。ウェバーとは対象的だ。敗因はセーフティーカ—退去時に車間距離を開けすぎ、隊列を乱したためにドライブスルーのペナルティーを喫したからだ。こういう負け方は、あとまで悔いが残るからよくないことだ。以前にも指摘したがベッテルの天敵はSC、これが現れると“天才”は自分のリズムを崩してしまい、ミスが多くなる。今回はルール上の問題だが、彼は「なぜ自分がペナルティーなんだ!?」と感情的にもなっていた。これでは、ライバルたちに弱点を見せることになる。終盤戦、SCがどれだけ出るか、その時ベッテルがどう対処できるかに彼のチャンピオンシップがかかっていると言ってもいいだろう。

もう一つ、M・シューマッハの幅寄せ事件について。断然速い後方R・バリチェロをブロックしようとする彼がピットストレートで演じたあのプレーは、最近のF1基準からすれば「相当厳しい」と言わざるを得ない。しかし15年前、90年代にはああいうプレーはよくあったこと。相手のバリチェロはそんな時代に生きてきたひとりであり、抜くか抜かせないか、食うか食われるか、シビアな時代を二人は体験している。バリチェロが昔チームメイトだったからああいう行動をとったというより、お互いベテランであるから咄嗟に昔のように“ワンポジション“へのこだわりを見せたのだろう。シューマッハ基準と今のF1基準の相違が“事件”へと発展した。

あとでG・ベルガ—も僕の感想と似た趣旨の発言をしている。昔はセナ、ピケ、マンセル、ベルガ—だってシビアなブロックを演じ、シューマッハもそうだった。ただし、現代F1基準があれを“次戦10グリッドダウン・ペナルティー”相当と認定、審査委員会が断罪したからにはシューマッハは従うべきであり、また今後、彼らは誰に対しても同様に対処すべきだ。

ほかにもこのレースではペナルティーが多数科せられた。R・クビサへの“10秒ストップ”、ルノーとメルセデス・チームに“罰金5万ドル”、ピットレーンでの混乱責任を厳しく追及されたのだ。やや乱発ぎみだが今後への戒めと僕は理解する。

真夏の2連戦を終えてプレスルームを離れたのは深夜12時ごろ。ひんやりした冷気のなか、市内ホテルに帰りもう一仕事、ルームサービスがなく残業めしはカップ焼きそばと地元のワインを。物足りないが我慢がまん、明日月曜日にはパリ経由で機内1泊、火曜日には日本に着く……はずだったのが、パリで成田行きフライトが欠航となって12時間遅れの火曜日昼出発に。用意された空港内ホテルで着の身着のままで1泊、ゲートでばったり会った小林可夢偉君と一緒に水曜日早朝にやっと成田に着いた。ブダペストを出てから2泊3日、真夏2連戦の旅路はちょっと長かった。

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