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モンザ復活祭! フェラーリ・アロンソがイタリアGPで完全勝利

モンザ復活祭——。
フェラーリとアロンソが第14戦イタリアGP完全勝利、今季まだPP+ウイン+最速ラップはレッドブル勢もなく、これがはじめて。いかに完璧であったか、彼らはタイプが違う第15戦ナイトレース・ストリートサーキットでも全く同じ結果を出し切った。
戦力構図がイタリアGPから激変、僕はもうどのコースでも“レッドブル完全本命”と見てはいけないと直感した。フェラーリ・アロンソは最速マシンに追いつき、現実に追い越しに成功した。

復活した理由は三つある
1.エアロパーツのアップデート、特にアンダーフロア(表からは見えにくい部分)による著しいダウンフォース向上。これは超高速モンザではドラッグ<空気抵抗>とはならず、直線スピードを確保したうえで重要なブレーキングスタビリティーをグンと高めた。コースサイドにいて彼のフェラーリが示す“コーナリングアクション”は変わり、フロントのぶれが一切消え、ステアリング切り込みがナチュラルになっているのに驚かされた。もちろんこれでBSタイヤとのマッチングも良くなり、消耗度、摩耗肌、発熱性など一歩リードされていたレッドブルに引けを取らなくて済むようになった。

2.チーム体制面でアロンソを主軸にし、マッサをアシスト役にする役割分担が明確にされた。フリー走行から二人のプログラムを変え、マッサはそれを受け入れしっかりデータサンプルを集める走りに徹した。たびたびスピンをするほど攻めてはセッティングの“限界”を探り、エンジニアに「これ以上は無理」という事実を知らしめ、方向性を教えた。NO.2扱いと言えばそうなるがマクラーレンもレッドブルも今こういう体制がとれずにいる。その点においてフェラーリ・チームには彼らだけの強みがある。僕は今のマッサの役割と仕事が、今後のチャンピオンシップにかなりかかわってくると思っている。

3.アロンソがとても元気だ。終盤戦もここまで来ると、けして表には出せない<蓄積疲労>が何気ない態度に滲み出るもの。しかしモンザに見るアロンソはパドック出入りでティフォシにもみくちゃにされても表情はにこやか。歩幅の大きい歩き方が印象的だ。アスリートは普段の“歩きかた”に体調が表れる。モンザは超高速でなおかつシケインが多く、そこをカットして走る時に人によっては脳震盪に近い頭痛に苦しむ。これは一種の「モンザ病」だ。鎮痛剤はなく、ドライバーは自分自身で耐えるほかなく、フィジカルコンディションが万全でないとベストプレーを連続できない。モンザは19戦中で最もタフなコースのひとつ、シーズンが深まり疲労度が募る9月に毎年開催されるイタリアGPを<決戦>と言ってきた理由はそれだ。

マシンが大幅にインプルーブされ、チームが采配を一本化、エースたるアロンソが求めていた条件はほぼすべてそろった。本命は彼、今こうして書いているときにではなく、9月11日、最後のフリー走行を見てパラボリカからパドックに歩いて帰るときに、90%そう信じた。

P.S 
10月8日にドキュメンタリー映画『音速の彼方へ(原題SENNA)』が東宝東和から公開されます。ワールドプレミアで日本が最初、すべて実写シーンで構成されていてナレーションもなく、とてもシンプルな作品です(なんか彼自身が監督したような気さえします)。ブラジルで製作されたこの映画に実は僕も“出演”しています。製作側からフジテレビに94年サンマリノGP中継映像素材の提供依頼があり、僕のもとに今年春ごろに打診がありました。どういう形で使われるのかは不明でしたが快諾しました。A・プロストはじめJ・スチュワートら多くのドライバー、R・デニス、F・ウイリアムズ、J−M・バレストルFISA会長などが貴重な「証言」を語り、セナの「名勝負ドラマ」の裏側が描かれています。生誕50年、彼のレースをリアルタイムで見た方も見られなかった方も、10月日本の映画館にセナ降臨です。

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