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2010年12月 アーカイブ

2010年12月04日

2010年最終2連戦、20日間世界1周を無事ゴールイン!

今年最終2連戦ツアーは世界1周便フライトで回ってきた。約3万マイル、スカイチーム便を利用して日本からアメリカで乗り継ぎブラジルGPへ、そのあとヨーロッパを経由してアブダビGPへ、そしてまたヨーロッパに戻ってから日本へと、およそ20日間の“ファイナルツアー”だった。

まず成田から太平洋を東へ、デルタ航空でアメリカのアトランタまで飛び、ほんの数時間空港内で過ごし、翌朝、サンパウロに到着。この日はレンタカー(現地生産のVWゴル)を借りて、モルンビにあるA・セナの墓参り。毎年いつも彼のもとには花がいっぱい供えられている。そのままインテルラゴス・サーキットに行ってプレスルームの自分の席を予約、TVモニターの配置を確認しながら席を選ぶようにしている。4日間を過ごす仕事場はまあまあの設備、つらいのはプレスパーキングから延々と階段を上がらなければならないこと。標高800m以上のここでは、急ぐと息切れがする……。

ブラジルGP後の月曜日、徹夜で朝まで仕事をしていたので昼過ぎまで休んでレイトチェックアウト。それから市内にあるハーツまで、渋滞の中をかきわけるように走って車を返却。この都市はいつも混雑していて歩道を散歩している犬にも抜かれるくらい。なにしろ進まない。ここでタクシーにスーツケースを移すが、狭いトランクは一杯で、助手席まで満載になった。タクシードライバーは老人で、空港途中でガソリンスタンドに寄ると言い出す。しかも、メーターをそのままにするので「いったん止めてくれ」と言うが「後で料金を値引きするから」と聞かない。途中でまた渋滞もあって、結構ギリギリの時間でチェックインになってしまった。

サンパウロからはエア・フランスのパリ行き夜行便だ。昨年、この大西洋横断フライト機内で出されたヒレ・ステーキの特にソースがとても旨く、期待していたら今年はメニューが変わってたいしたことはなかった。なんかぱさぱさのコンビーフみたい。でもワインはさすがにデルタのモノよりもいい。11時間フライト、機内映画システムが故障していて、僕は寝るだけでどうでもよかったが“お詫び”として1万マイルをいただいた。“グッドウイル・ジェスチャー”として。

機内で1泊してドゴール空港に早朝6時着陸。寒い。マロニエの枯葉が歩道にたくさん積もっていて、初夏に入っていたブラジルから来ると秋を実感する。アブダビに向かう前に、一晩だけでもと夜はなじみの寿司屋へ、今年はもうこれが最後と挨拶する。ちょっとロゼワインで酔ってしまい、チップをはずむのを忘れた。御主人も頼んだ“かっぱ巻き”を忘れていたからまあいいか。

水曜日午後便でドバイへ。6時間程度のフライトは短く感じられ、夜11時半に到着、ハーツに行くとトヨタ・カローラが待っていた。VWゴルよりは大きくて荷物もすべて収納、深夜の高速を一路アブダビに向かって急ぐ。制限速度は120km、一応130kmで走るがバンバン抜かれる。山のようにでかいSUV車ばかりでパリとは大違いだ。しかしサーキットそばまで1年ぶりでも迷わず来たのに、最後で“集中力”が薄れたのか迷ってしまい、完成したばかりのテーマパーク「フェラーリ・ワールド」に入り込んだり、またUターンしたり、うろうろしていたらパトカーが出現、停止を命じられた。
パスポートから国際免許、FIAパスなど全てを見せ、ホテルを探していて迷っているところだと説明。それでも「ユー・ドリンク?」と聞くから、のろのろ走っていたのは酔っぱらっているわけではないと言い、20分ほどしてやっと納得してくれた。そこですかさず頼むとパトカー先導でホテルまで案内してくれ、午前2時ごろにようやくチェックイン。パリから着いて気温30℃の砂漠地帯を走ってやっと最終目的地にたどり着いたので、とりあえずミニバーからビールを。今年のホテルは安くはないがめちゃ高くもなく、24時間ルームサービスもあって、インターネットもOK、これならトワイライトレース後も朝まで部屋で仕事ができるし、温かいモノも食べられる。それにドゴール空港で買ってきたスコッチウイスキーとボルドーワインもある。さみしいシーズンエンドの夜を過ごした1年前とは大違いだ。

木曜日は昼から徒歩でサーキットへ、肌が日焼けするほどの陽射しを浴びながら行く。この夜はホテルのビュッフェレストランで済まそうと入ったら、なんとシーフードが山盛り。寿司まであって、生ガキやロブスターが食べ放題だったが、砂漠の真ん中だし万一のことを考えて控えることに。翌日も忙しくまたここに行くと“シーフードフェア”は毎週木曜日のスペシャルで、この日のメニューはアラビアンに変わっていた。まあ、これも悪くはないなと食べていたら、横で現地の衣装を着たおじさんがビールをがぶ飲み、戒律は関係ないのだろうか?

結局、アブダビGPでは土曜日も日曜日も深夜のルームサービス、すっかりボーイ君と顔見知りになり「お互い、こんな時間まで大変だけど頑張ろう」と励まし(?)合う。
また夕方までいてレイトチェックアウト、近くのホテル内にあるイタリアンレストランで久々にテーブルについての食事だ。この店は昨年入って本格的なので驚いたところ、おすすめのホタテガイをいただく。白ワインにぴったりだと思ったが、これからドバイまで走らなければならないのでガス水で我慢、来た道をまっすぐ帰る……はずが、またドバイ空港目前で道に迷う。返却時に満タンにしようとスタンドを探していたからで、一方通行が複雑に絡み15分くらい回り道してしまった。それでもフライトが深夜1時50分発だったので、まだチェックインカウンターがクローズのまま。これならいっそのことドバイ見物に行けばよかった。

7時間の夜行便で火曜日早朝6時にパリ着。外は7℃で今回持ってきたすべての服を着込んで2Fターミナルを出た。原稿を書き続けた水、木、金、土曜日まで秋雨前線が停滞するパリは冬同然の気候。せっかくだからとシャンゼリーゼに行って少しだけクリスマス・イルミネーションを眺めた。でもエッフェル塔が華やかなイルミネーションを点灯したのは、僕らが土曜日にこの街を後にしてからだった。よほど観光とは縁がないようにできている。

今シーズン最後のツアーはこれで終わりだが、2011年は最終戦が11月27日なので、時間の余裕があれば真冬のパリでクリスマス気分に浸れるかもしれない。そんなことを機内で思い浮かべながら、20日間世界1周を無事ゴールインした。

2010年12月29日

2010年「NOTベスト・アワード」発表!

今年もここだけでやってしまおう、2010年ベストアワードとは逆の「NOTベストアワード」発表です。来シーズンはぜひ頑張ってくださいくださいという期待を込めてノミネートした。

☆ドライバー部門:1位 V・ペトロフ、2位 L・ディ・グラッシ、3位 S・ブエミ、4位 F・マッサ、5位 R・バリチェロ
☆マシン部門:HRT・F110
☆レース部門:韓国GP
☆タクティクス部門 :レッドブル・レーシング
☆カラーリング部門 :BMWザウバーF1チーム
☆コース(レイアウト)部門:アブダビGP・ヤスマリーナ・サーキット
☆プレスルーム部門 :イギリスGP・シルバーストン
☆アクセス部門:ベルギーGP・スパ・フランコルシャン・サーキット
☆ホテル部門:韓国GP周辺

■ドライバー部門
12チーム、27人のドライバーがエントリーした中から、堂々ドライバー部門第1位に輝いたのはV・ペトロフ。数々の不用意なスピン、派手なクラッシュ、被害総額は推定2億円以上とみられ、ルノー・チームの残業は深夜にまで及んだ。このロシアン・ドライバーには不思議な一面があってパドックにいる時も妙にちゃらちゃらしている。誰にでも話しかけてくる態度はフレンドリーでけして無礼な行動はとらないけれどもコース上では相当暴れる。シビアなルノーR30はコントロールが確かに難しく、リバース・ステア(急激なハンドリング変化)を予知するのは大変そうだ。でも何度も同じパターンのスピンを繰り返すのは学習不足。最終戦アブダビGPではアロンソを抑えて6位入賞したものの、あれはあのコースだからできたこと、いかにルノー開発“Fダクト”が直線で速いかという証明にすぎない。
世が世ならビッグチームでこの結果では前半戦でとっくにシートを失っていただろうが、大国ロシアから愛をこめた支援は強力で、先日新規2年契約が発表されたばかり。ポーランド出身のR・クビサはまた来年苦労することになりそうだ。チームメイトからのデータフィードバックはあてにならず、彼のスピン・ダメージ修復にスタッフは追いまくられて精力を削がれるからだ。

ペトロフがぶっちぎりで2位はバージンのL・ディグラッシ。ルーキーとはいえ彼を見ていると、最後まで自分の理想のセッティングが解らず、とにかく懸命に振り回そうとする走りだった。GP2ではなんとかなってもF1でこれでは突破口は開けない。
3位はS・ブエミ、まる2年トロロッソという“恵まれた”シートを与えてもらいながら伸びるどころか停滞。経験豊富なスタッフによって最適セットアップを組んでもらえても、いわゆるオーバードライビングで焦りが先立つばかり。いつもにこやかな若い父親(サーキットパパ)が一緒、余計なお世話だがもう一人歩きさせたほうがいいと思うのだが。

4位F・マッサ、5位R・バリチェロともに十分な経験を持つスタークラス・ドライバー。しかしそれぞれ推定12億円、4億円以上もの高額ギャラをいただくアスリートとして客観評価するなら、今シーズンは×だ。バリチェロはウイリアムズを背負って活躍したかに映るが、もしチームがN・ヒュルケンベルグを正当に扱っていたら、“逆転現象”が後半戦早い段階で起きていたと思う。彼がデビューしたころにはテクニシャンとしての技が見え、体力面ではやや劣っていてもなんとかカバーする姿勢があった。ところが最近はフリー走行では流し、予選では直接のライバルのアタックを実にうまく見極めてさばく(ブロックともいう)。要所要所でそんな高度な技を発揮するベテランの味はかなりどぎつい。でもなぜかあまりペナルティーは受けず、さすがに大ベテランは処世術にも長けている。07年ホンダ時代にノーポイントでもさっさと高額契約で残留するなど、マネージメント手腕も群を抜く。

■マシン部門
GP2ではないがF1でもない“GP1.5”みたいなHRT・F110。山本左近君との雑談で、いかにこのマシンが凄いか、まっすぐ走れない挙動かを実際にコーナーで確認してきたよと言ったら、彼は「あそこで見てくれてたんですか…」と苦笑いを浮かべていた。ある意味、僕はB・セナ、K・チャンドックらをリスペクトする。このHRTはオオカミの群れに迷い込んだ羊のよう、集団走行中には抜かれるほうも抜くほうもリスキーであった。

■レース部門
なぜFIAアワードがあの混乱韓国GPに授与されたのか、どなたも不思議に思うだろう。僕も解せない。初開催GPに与えられる“お約束のアワード”とはいえいくらなんでもあれでは……、まあこれも今のフォーミュラワン・ビジネス社会の断面ではある。

■タクティクス部門
ダブルチャンピオン・レッドブルにもここでアワードを。皮肉ではなく数々あったチーム戦略ミスによって、最後までシリーズを活性化させてくれたのは事実。あのトルコGPでの2台接触事件、イギリスGPでのウェバー「ウイング返せ発言」など、真相はともかく采配面で見苦しいばかりの内部混乱が起きた。「でも速ければそれでいいだろ」的なチームポリシーが最後には功を奏し、今年を乗り切った。

■カラーリング部門
正式にはBMWザウバー名称のままで今年を乗り切った“ザウバー”、カラーリングもプレス対応も昔ながらのBMWスタイルそのまま、色気がないチームだ。今年は小林可夢偉色で染まり、それはそれでよかったがもうちょっと何とかしないと。来年は“メキシカン・マネー”に頼るザウバー、変身か?

■コース(レイアウト)部門
昨年からこのコースレイアウトはひどいと感じていた。なんでピットレーンをわざわざトンネルにしたのか、なぜここにシケインを置くのか、どうしてやたら長い直線を2本作ったのかetc。最終戦アロンソ対ペトロフで世界中に最悪レイアウト(追い越し不能)をアピールしてしまった。莫大な金額をかけさせ、設計監修料をいただくためにあのようなコースになったとしたらあまりにも悲しい。この僕だってもう少し面白いコースは考えられる。提案として今後新コースを建設する際は、FIAサーキット委員会にドライバー経験者を招いてアドバイスをとり入れ、設計者側を指導したいいのではないか。

■プレスルーム部門 
あのシルバーストーンがとんでもない工事中状態だったことはあまり批判されていない。ますます不便になったプレスルーム環境は最低でも、誇り高い英国人たちは何も言わないからあえてここで言う。プレス駐車場は遠く、夜は真っ暗、室内は曇天でも冷房がんがんで18度、TVモニター位置は見にくく、不味いコーヒーと紅茶はとうていイギリスとは思えず、残飯をあてがうように出してくるサンドイッチの味といったら日本のコンビニ以下レベル。伝統の一戦が泣くぞ。

■アクセス部門
ヨーロッパラウンドがどんどん減り、クラッシックイベントのベルギーGPも運営が大変な状況になっている。公的資金に依存、つまり税金がつぎこまれている。今年僕はホテルを変えたがあまりにも値段が高く、距離的に近いから選んだのに毎日変わる交通規制でサーキット周辺は大渋滞、まいった。スパ・フランコルシャンはレイアウトとして面白くてもアクセスは最悪レベル、それでも雨の中あれだけ観客を集めるのは伝統の力というほかない。
(なお2010年「ベストアワード」のほうは、現在発売中の文春ナンバー誌769号で発表しているのでそちらをどうぞ)

P.S. 
12月23日に行った<ブリヂストン小平工場見学&浜島さん慰労会>には、全国から多数の申し込みがあり、限定数を超える40数名の方々が参加されました。初めて立食パーティー形式で2時間食べ放題、飲み放題、しゃべり放題としましたが、マイクなしで皆さんと輪になって楽しいひと時を過ごせました。浜島さんも「こんな素敵な会を開いていただき光栄です」と挨拶、「第1期活動は終わりでも……!?」と意味深な発言が最後に飛び出し、一同シーンとなる場面も。
今年もF1LOVERSの皆さまには、おつきあいいただき心より御礼申し上げます。GP転戦ツアーに追われ、リポート更新が遅れがちになりご心配ご迷惑をかけました。2011年は3月13日から全20戦がスタート、僕もコンディショニングを整え、現場から見たこと聞いたこと感じたことをダイレクトにお伝えする基本姿勢をつらぬいて頑張ります。良い年をお迎えください。
                                   今宮 純


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