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2010年「NOTベスト・アワード」発表!

今年もここだけでやってしまおう、2010年ベストアワードとは逆の「NOTベストアワード」発表です。来シーズンはぜひ頑張ってくださいくださいという期待を込めてノミネートした。

☆ドライバー部門:1位 V・ペトロフ、2位 L・ディ・グラッシ、3位 S・ブエミ、4位 F・マッサ、5位 R・バリチェロ
☆マシン部門:HRT・F110
☆レース部門:韓国GP
☆タクティクス部門 :レッドブル・レーシング
☆カラーリング部門 :BMWザウバーF1チーム
☆コース(レイアウト)部門:アブダビGP・ヤスマリーナ・サーキット
☆プレスルーム部門 :イギリスGP・シルバーストン
☆アクセス部門:ベルギーGP・スパ・フランコルシャン・サーキット
☆ホテル部門:韓国GP周辺

■ドライバー部門
12チーム、27人のドライバーがエントリーした中から、堂々ドライバー部門第1位に輝いたのはV・ペトロフ。数々の不用意なスピン、派手なクラッシュ、被害総額は推定2億円以上とみられ、ルノー・チームの残業は深夜にまで及んだ。このロシアン・ドライバーには不思議な一面があってパドックにいる時も妙にちゃらちゃらしている。誰にでも話しかけてくる態度はフレンドリーでけして無礼な行動はとらないけれどもコース上では相当暴れる。シビアなルノーR30はコントロールが確かに難しく、リバース・ステア(急激なハンドリング変化)を予知するのは大変そうだ。でも何度も同じパターンのスピンを繰り返すのは学習不足。最終戦アブダビGPではアロンソを抑えて6位入賞したものの、あれはあのコースだからできたこと、いかにルノー開発“Fダクト”が直線で速いかという証明にすぎない。
世が世ならビッグチームでこの結果では前半戦でとっくにシートを失っていただろうが、大国ロシアから愛をこめた支援は強力で、先日新規2年契約が発表されたばかり。ポーランド出身のR・クビサはまた来年苦労することになりそうだ。チームメイトからのデータフィードバックはあてにならず、彼のスピン・ダメージ修復にスタッフは追いまくられて精力を削がれるからだ。

ペトロフがぶっちぎりで2位はバージンのL・ディグラッシ。ルーキーとはいえ彼を見ていると、最後まで自分の理想のセッティングが解らず、とにかく懸命に振り回そうとする走りだった。GP2ではなんとかなってもF1でこれでは突破口は開けない。
3位はS・ブエミ、まる2年トロロッソという“恵まれた”シートを与えてもらいながら伸びるどころか停滞。経験豊富なスタッフによって最適セットアップを組んでもらえても、いわゆるオーバードライビングで焦りが先立つばかり。いつもにこやかな若い父親(サーキットパパ)が一緒、余計なお世話だがもう一人歩きさせたほうがいいと思うのだが。

4位F・マッサ、5位R・バリチェロともに十分な経験を持つスタークラス・ドライバー。しかしそれぞれ推定12億円、4億円以上もの高額ギャラをいただくアスリートとして客観評価するなら、今シーズンは×だ。バリチェロはウイリアムズを背負って活躍したかに映るが、もしチームがN・ヒュルケンベルグを正当に扱っていたら、“逆転現象”が後半戦早い段階で起きていたと思う。彼がデビューしたころにはテクニシャンとしての技が見え、体力面ではやや劣っていてもなんとかカバーする姿勢があった。ところが最近はフリー走行では流し、予選では直接のライバルのアタックを実にうまく見極めてさばく(ブロックともいう)。要所要所でそんな高度な技を発揮するベテランの味はかなりどぎつい。でもなぜかあまりペナルティーは受けず、さすがに大ベテランは処世術にも長けている。07年ホンダ時代にノーポイントでもさっさと高額契約で残留するなど、マネージメント手腕も群を抜く。

■マシン部門
GP2ではないがF1でもない“GP1.5”みたいなHRT・F110。山本左近君との雑談で、いかにこのマシンが凄いか、まっすぐ走れない挙動かを実際にコーナーで確認してきたよと言ったら、彼は「あそこで見てくれてたんですか…」と苦笑いを浮かべていた。ある意味、僕はB・セナ、K・チャンドックらをリスペクトする。このHRTはオオカミの群れに迷い込んだ羊のよう、集団走行中には抜かれるほうも抜くほうもリスキーであった。

■レース部門
なぜFIAアワードがあの混乱韓国GPに授与されたのか、どなたも不思議に思うだろう。僕も解せない。初開催GPに与えられる“お約束のアワード”とはいえいくらなんでもあれでは……、まあこれも今のフォーミュラワン・ビジネス社会の断面ではある。

■タクティクス部門
ダブルチャンピオン・レッドブルにもここでアワードを。皮肉ではなく数々あったチーム戦略ミスによって、最後までシリーズを活性化させてくれたのは事実。あのトルコGPでの2台接触事件、イギリスGPでのウェバー「ウイング返せ発言」など、真相はともかく采配面で見苦しいばかりの内部混乱が起きた。「でも速ければそれでいいだろ」的なチームポリシーが最後には功を奏し、今年を乗り切った。

■カラーリング部門
正式にはBMWザウバー名称のままで今年を乗り切った“ザウバー”、カラーリングもプレス対応も昔ながらのBMWスタイルそのまま、色気がないチームだ。今年は小林可夢偉色で染まり、それはそれでよかったがもうちょっと何とかしないと。来年は“メキシカン・マネー”に頼るザウバー、変身か?

■コース(レイアウト)部門
昨年からこのコースレイアウトはひどいと感じていた。なんでピットレーンをわざわざトンネルにしたのか、なぜここにシケインを置くのか、どうしてやたら長い直線を2本作ったのかetc。最終戦アロンソ対ペトロフで世界中に最悪レイアウト(追い越し不能)をアピールしてしまった。莫大な金額をかけさせ、設計監修料をいただくためにあのようなコースになったとしたらあまりにも悲しい。この僕だってもう少し面白いコースは考えられる。提案として今後新コースを建設する際は、FIAサーキット委員会にドライバー経験者を招いてアドバイスをとり入れ、設計者側を指導したいいのではないか。

■プレスルーム部門 
あのシルバーストーンがとんでもない工事中状態だったことはあまり批判されていない。ますます不便になったプレスルーム環境は最低でも、誇り高い英国人たちは何も言わないからあえてここで言う。プレス駐車場は遠く、夜は真っ暗、室内は曇天でも冷房がんがんで18度、TVモニター位置は見にくく、不味いコーヒーと紅茶はとうていイギリスとは思えず、残飯をあてがうように出してくるサンドイッチの味といったら日本のコンビニ以下レベル。伝統の一戦が泣くぞ。

■アクセス部門
ヨーロッパラウンドがどんどん減り、クラッシックイベントのベルギーGPも運営が大変な状況になっている。公的資金に依存、つまり税金がつぎこまれている。今年僕はホテルを変えたがあまりにも値段が高く、距離的に近いから選んだのに毎日変わる交通規制でサーキット周辺は大渋滞、まいった。スパ・フランコルシャンはレイアウトとして面白くてもアクセスは最悪レベル、それでも雨の中あれだけ観客を集めるのは伝統の力というほかない。
(なお2010年「ベストアワード」のほうは、現在発売中の文春ナンバー誌769号で発表しているのでそちらをどうぞ)

P.S. 
12月23日に行った<ブリヂストン小平工場見学&浜島さん慰労会>には、全国から多数の申し込みがあり、限定数を超える40数名の方々が参加されました。初めて立食パーティー形式で2時間食べ放題、飲み放題、しゃべり放題としましたが、マイクなしで皆さんと輪になって楽しいひと時を過ごせました。浜島さんも「こんな素敵な会を開いていただき光栄です」と挨拶、「第1期活動は終わりでも……!?」と意味深な発言が最後に飛び出し、一同シーンとなる場面も。
今年もF1LOVERSの皆さまには、おつきあいいただき心より御礼申し上げます。GP転戦ツアーに追われ、リポート更新が遅れがちになりご心配ご迷惑をかけました。2011年は3月13日から全20戦がスタート、僕もコンディショニングを整え、現場から見たこと聞いたこと感じたことをダイレクトにお伝えする基本姿勢をつらぬいて頑張ります。良い年をお迎えください。
                                   今宮 純


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